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AI音楽ニュース|2026年9月2週:権利者提携のv6、YouTube学習の開示、配信と表示の実務
対象期間は2026年9月8日〜14日。SunoがWarner、BMG、Believeと組んだv6を出し、旧モデルは引退へ。Believe/TuneCoreは新しい業界提携モデルの出力だけ配信対象にすると発表しました。Sunoは学習用にYouTube音声をYT-DLPで取得したと認め、UMGとElevenLabsはファン向けのライセンス済み生成基盤で複数年契約。SpotifyのAI Personaバッジは、曲がAIかどうかではなく、見た目の話です。
Suno v6、権利者素材でゼロから学習(9月9日)
Sunoは9月9日、公式ブログでv6世代を発表しました。共同開発の相手としてWarner Music Group、BMG、Believeを挙げています。モデルは3つです。v6とv6-wildはProとPremier、v6-miniは全員向け。公式は、展開に合わせて旧モデルを引退し、Suno全体をv6世代へ移す、と書いています。CPOのJack BrodyはMusic Business Worldwideに対し、旧モデルは同日引退だと説明しました。
Brodyは、v6はゼロから学習した、学習データにUniversal Music GroupとSony Music Entertainmentの録音は入っていない、と述べています。中身は権利者からライセンスされた音源、ユーザーの好みの信号、研究開発の蓄積だ、としています。ユーザー音源のアップロードそのものではなく、生成した2案のどちらが選ばれたか、という好みのデータだ、とSuno側はMBWに説明しています。Warnerが学習用に渡す音源を決めた、BMGの音源は投入が始まっている、とも報じられています。UMGとSonyは、過去モデルの学習を巡るボストンの訴訟の原告のままです。v6の説明は、その訴訟が終わったという意味ではありません。
Brodyは、公開初日から売上の一部を提携先と分配し、その先の配分は権利者側が決める、と話しています。CEOのMikey Shulmanは、次の段階として、参加を選んだアーティスト個人を軸にしたopt-in体験を用意し、参加すれば対価が払われる、と書いています。Brodyは、有料会員が生成した曲はオリジナルで、会員が所有する、と述べる一方、アーティストopt-inの派生体験では権利の扱いが変わると前置きしています。MBWが引用した9月3日発効の規約は、Pro/Premierへ権利を割り当てるとしつつ、著作権が成立することを保証しない、第三者配信では権利者が出力の収益を受け取れる場合がある、と書いています。所有の一言だけで配信設計は決まりません。
Believe/TuneCore、新モデル出力だけ配信対象(9月8日)
Believeは9月8日、Sunoとのグローバルなライセンス提携を発表しました。参加するBelieveおよびTuneCoreのレパートリーが、業界と共同の新モデルに入る、としています。参加を選んだアーティストは補償され、権利は保護される、と発表文は書いています。全カタログが自動で学習に入った、とは一次情報は言っていません。
現場で効くのは配信の一文です。新しい業界提携モデルで作った曲は、Believe/TuneCoreでの配信対象になります。4月30日に始めた、当時のSunoなど未ライセンス枠の自動ブロックからの転換だと、両社は説明しています。対象は新モデルの出力です。旧モデルで作った曲は含まれません。止められていた旧出力を、そのままBelieve経由で通せる話ではありません。
Suno、YouTube音声をYT-DLPで取得したと認める(答弁9月1日、報道9月8日)
Sunoは、マサチューセッツ連邦地裁に9月1日提出した答弁書で、「学習データとしてYouTubeから音声データをYT-DLPで取得した」と認めた、とMusic Business Worldwideが9月8日に報じています。レーベル側の改正訴状はYT-DLとYT-DLPの両方を挙げていましたが、認めた文言が名指ししているのはYT-DLPです。
争点として報じられているのは、YouTubeのダウンロード防止技術を迂回したというDMCA上の請求について、UMGとSonyに原告適格があるか、です。著作物の複製についてはフェアユースだと主張し、レーベル側の独占や著作権の濫用も抗弁に挙げています。MBWによると、適格と管轄の争いはこの迂回請求に限られ、著作権侵害の請求2件には及ばない、と整理されています。事実審理(fact discovery)の締め切りは9月30日。対象の録音は現時点560曲、レーベルは1曲あたり最大15万ドルの法定賠償を求めている、と報じられています。これは請求額であり、認定された損害ではありません。
制作者目線では、これはSunoの学習過程の話です。自分が作った曲をYouTubeや店舗に載せてよいかは、別レイヤーです。後者は、いまでも各サービスの利用規約と、配信先のルールが基準になります。
UMGとElevenLabs、ファン向けライセンス生成基盤(9月10日)
Universal Music GroupとElevenLabsは9月10日、複数年のライセンス契約と、より広い戦略提携を発表しました。ElevenLabsにとってメジャーレーベルとの初契約です。まずElevenLabsが、参加アーティストの楽曲を使ったファン向けの生成基盤を作ります。リミックス、マッシュアップ、新しい解釈、パーソナライズされたボーカル体験が挙げられています。現在開発中です。
公式は、この基盤を既存のMusic APIおよびElevenMusicとは別提供だと明記しています。アーティストやソングライター向けのAI音声プロダクトも、今後共同で作る、としています。いまElevenMusicやAPIでオリジナルのBGMを作っている人にとって、UMGのカタログがそこに載る発表ではありません。参加アーティストの曲をファンがいじるための、別プロダクトです。参加していない楽曲を入れてよい、とも書かれていません。
Spotify、AI Personaバッジを9月中旬から(発表8月11日)
Spotifyは8月11日、AI Personaバッジを発表し、展開時期を9月中旬としています。ヘルプも「mid-September」開始、現時点はモバイル、と案内しています。対象期間の動きとして扱います。バッジが示すのは、アーティストの公開上の身元が、実在の人に見える写実的なAI生成である可能性、です。曲がAIで作られたかどうかではありません。人間が作った曲でも、AI生成でも、混在でも、バッジは付き得ます。曲の作り方の開示は、公式はAI CreditsとSongDNAに分けています。
既定では、AI Personaは編集プレイリストにもアルゴリズム推薦にも入りません。フォローなど、聞き手が意図した操作がある場合は例外、とニュースルームとヘルプが一致しています。聴く、フォローする、操作することはできます。写実的なAIの顔を「アーティスト本人」として出す運用は、バッジと推薦除外を見込んだ方がいい。抽象的なジャケットや、実在の人のプロフィールとは別の話です。全アカウントの画面をこちらで確認したわけではなく、公式の展開時期に沿った案内です。
今週、制作者が押さえる一点
訴訟の結論はまだ先です。実務で今すぐ効くのは次の4つです。
- Believe/TuneCoreに載せるなら、新しい業界提携モデルで作った曲か確認する。旧モデルの出力は対象外と発表されている
- 有料プランの「所有」と、規約の但し書き(著作権の保証なし、第三者配信での権利者取り分)をセットで読む
- YouTube学習の認否はSuno側の話。「自分の公開が安全か」は規約と配信先のルールで別判断する
- SpotifyのAI Personaバッジは顔の話であり、曲の生成方法のラベルではない。写実的なAI顔を名義にするなら推薦除外を見込む
Kominamiの位置づけ
Kominamiでは、サイトライセンスの範囲で商用利用できるAI音楽素材を公開しています。利用条件の詳細はサイト内のライセンス案内を参照してください。getkominami.comからのダウンロード回数は、Sunoのプラン枠ではありません。
BelieveやSpotifyへ自分で配る場合の可否は、各曲がどのモデルで作られたか、配信先の方針、名義の見せ方で決まります。本記事は公開情報の要約です。法的助言ではありません。権利判断が必要な案件は専門家に確認してください。
Source: Kominami